図は、釧路湿原に流れ込む河川流域の乳牛頭数を表しています。境界は、個々に固有の流域を示しています。この図に示された釧路湿原に流れ込む河川流域において、総乳牛頭数は約17,000頭から39,000頭に増えました。特に、標茶周辺(図中上方)においては著しく増加しています。 乳牛1頭から排泄される糞尿量は人間の約50人分にあたると言われていますので、糞尿量による環境負荷を人間に換算すると、30年間で約110万人増えたのと等しいことになります。
このような環境負荷は、過剰な窒素、リン等の栄養塩の供給や、BOD(生物化学的酸素要求量)を増大させることになり、水生生物や湿原の植生に深刻な影響を与える可能性があります。
私達は普段から牛乳やチーズといった乳製品を口にしています。これらの製品は私達の生活に根付いています。単純に乳牛の生産を止めればということではなく、このような現状を踏まえて、家畜生産と湿原保全の両立を図っていく必要があります。
ちなみに、湿原周辺5市町村の人口を見ると、トップは釧路市の19万人ですが、乳牛1頭=人間約50人で計算すると、糞尿量では、標茶町が163.6万人分でトップとなり、人口206万人の札幌市と肩を並べることになります。
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