自然再生釧路方式: 再生事業の範囲とパイロット事業地  
再生事業の範囲とパイロット事業地

湿原の再生には、湿原部だけではなくそこに流れ込む川の流域全てを視野に入れなければならないという考えから、釧路湿原流域全体25万ヘクタールを自然再生事業の対象として設定しています。これは5市町村(釧路市、釧路町、標茶町、弟子屈町、鶴居村)にまたがる範囲で、流域内の人口は、平成15年3月末現在231,801人(住民基本台帳)です。人口の大半が湿原下流域に位置する釧路市とその周辺に集中しています。
釧路湿原の上流部は弟子屈町上流部にまでおよびます。



パイロット事業対象地

外部からの環境負荷を受けやすい湿原周辺部において、湿原の再生、落葉広葉樹を主体とした森の再生、あるいは多様な生きものが棲める環境の整備といった事業(パイロット事業)を、順次始めています。パイロット事業の対象地は、農地の拡大やハンノキの分布等湿原保全上の課題を集積している地域、再生への取り組みのシンボルとなりうる地域、といった観点から、広里地域、達古武、塘路・茅沼地域、久著呂・幌呂地域、温根内・北斗地域の5地域が選定されました。



[広里地域] テーマ:湿原の下流域→湿原の再生

市街地に隣接するが、タンチョウなど希少野生生物が生息しています。農地開発による湿原域の減少が進む一方、放棄農地が多い地域です。
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[達古武地域] テーマ:湿原の中流域→森の再生

達古武沼を中心に、多様な地理条件と豊かな生物相に恵まれていますが、周辺丘陵地での森林の荒廃等によって、土砂流出防止機能や保水力の低下、沼・湿原、森林が一体となって支えてきた多様な生物の生息環境の悪化が懸念されている地域です。
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[塘路・茅沼地域] テーマ:湿原の上流部→水環境の再生

直近に河川直線化部分があり、周辺に農地が広がっています。湿原域の減少に加え、塘路湖・シラルトロ湖では生活排水、温泉排水や家畜糞尿などが要因と考えられる水質汚濁が進み、水草など水生生物の減少が著しい地域です。
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[久著呂・幌呂地域] テーマ:湿原の上流部→テーマを検討中

周辺に農地が広がっていますが、チルワツナイ川やそれを挟むキラコタン岬、宮島岬など自然度の高い地域も残されています。湿原への土砂流入に伴うハンノキ林拡大が進行しています。


[温根内・北斗地域] テーマ:湿原の中流部→テーマを検討中

高層湿原や遊水地が存在し、多様な野生生物が見られます。後背地での農地・宅地開発等が進み、キタサンショウウオ、ヤチボウズ等湿原特有の生物の生息環境が消失しつつあります。

 

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