自然再生釧路方式: パイロット事業地 広里地域 事業内容  
広里地域 事業内容



旧雪裡川の両側に広がる広里地域では、かつて湿原であった場所が1960年代後半に農地に造り変えられました。しかし、これらの農地は条件が悪かったために、その後手放されてしまい、今では荒地になっています。環境省ではこの農地跡地を昔の湿原に戻して本来の自然環境を取り戻すため、植物・地下水の動き・野生生物・地形などについて詳しい調査を行うとともに、それらの結果を見ながら、どういった工事やモニタリング調査を行うか、専門家や地域のNPO、NGOなどと話し合いを重ねています。また、これらの話し合いの場では、関係する人々だけではなく、地域の専門家やNPO、NGOの意見も積極的に取り入れるなど、柔軟に方法を見直しています。とりわけ広里地区にはタンチョウが生息していることから、高い所からタンチョウを観察し、その行動に影響を与えないように十分に配慮しながら色々な調査を実施するなど、今までにない丁寧な作業を行っています。

今年1月1日に施行された「自然再生推進法」。これに先駆けて環境省では広里地域を自然再生事業のパイロット地域の1つとして位置付け、昨年6月から自然環境調査を実施。その調査結果を踏まえ、さらに専門家による検討を重ねて、このほど広里地域における自然再生のための事業が、本格的にスタートしました。

初日となった2月6日午後1時には、北海道環境財団の辻井達一理事長をはじめ事業関係者が見守る中、農地跡地に最初の手が入れられました。事業に際しては、自然への影響を最小限にとどめるために、資材運搬用の仮設道路に雪を積み上げて作るアイスブリッジを採用。全て人力で総延長1.5kmのアイスブリッジ作りの作業が進められました。


農耕跡地の表土はぎとり作業を実施

この事業は、事業対象地260haで実施された環境調査結果に基づいて行われたもので、農耕跡地に堆積した有機土層などを試験的にはぎとり(2400平方メートル)、地下水位に近づけることにより、ヨシやスゲなどの湿地植物の回復を促そうというもの。このほか、人為的影響により増大したと考えられるハンノキを一部試験的に伐採(1250平方メートル)し、湿地への影響をモニタリングする作業も実施。広里地域では、引き続き各種調査を実施し、それらのデータの分析を行いながら今後の自然再生事業に生かし、最終的には農地造成以前の1960年代の湿原に戻すことを目標としています。


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