湿原と人: 地域住民へのアンケート(湿原に関する意向調査)  
地域住民へのアンケート

平成11年に釧路川流域住民の湿原に関する意向について、アンケート調査が釧路開発建設部によって行われました。「アンケート調査」はその調査から得た結果がまとめやすく、全体像がつかみやすい、という長所がある一方、選択肢が適当でないときには偏った結果や意味のない結果が出てしまうこともあるため、簡単な解釈は出来ません。

これら結果を出来るだけ抽象的に理解するには、どのような質問が与えられ、それに対して「どのような選択肢が与えられているか」しっかりと目を通し、その上で解釈しようとする姿勢が大切です。

以下のグラフの表示について

アンケートは郵送で回収されたものと回収箱で回収されたものがあります。回収方法が違うと、その1票の持つ意味合いも違うと考えられるため、結果はそれぞれ別々に表示されています。
また、グラフ中の数値はパーセント(%)を示し、「複数回答」と明示されたもの以外はいずれも1つ選んで回答されたものと考えてください。

 

>>回収箱による回答は**通。
>>郵送による回答は**通(全**通配布、回収率**%)
 
■湿原への関心について

明らかに湿原に対して関心を持っている人々は約35%程度と思われます。 ただ、時に湿原に対して関心を持つ、という人々も、湿原に対して否定的な感想を持っているわけではないといえると思われます。湿原への関心については、殆どの人が程度の差はあれども関心を寄せていると言えます。

■湿原の乾燥化の認知度について

乾燥化についての認知度は「知っていた」及び「多少知っていた」を併せると6割程度です。このような湿原で起こっている問題については、4割の人がそれ程認知していないということですので、今後の広く認知されるよう努めていく必要があります。

■湿原の変化に対する感想について

“危機感を強く感じる”及び“危機感を感じる”を併せると、およそ6割以上の人が湿原の変化に対して危機感を抱き、対策を検討することを望んでいることが分かります。 ただ、回答を回収箱に投函、及び郵送される人々は、ある程度関心の高い人々である可能性が高い(関心がない人々は、回答しない可能性がある)ということを考慮しなくてはなりません。

■湿原保全の指標について(複数回答)

いずれの項目も湿原の指標に成りうる、と考える人々が多いようです。

■湿原の利用方法について

限定的な利用やルールや条件付利用を求める人々が多く、基本的に出入り禁止を求める人も約15%います。 原則的に自由利用を支持する人は7〜8%程度です。

■釧路湿原の望まれる状態について

今の状態を保全することを望む人々が4割強、50年、もしくはそれ以上昔の湿原の状態に戻すべきだと考える人々も約4割います。ただし、これらの人は、湿原の望まれる状態を経済活動を考慮して検討すべきとしている点は注目すべきです。経済的観点から開発と利用を優先すべきという意見は少数ですが、同時に、経済活動よりも湿原の保全をという意見も少数であることは見逃せません。釧路湿原の自然再生は、その目的にも盛り込まれている通り、地域経済との両立という非常に難しい前提条件があります。バランスが重要です。

■湿原を保全するための取り組みについて(複数回答)

複数回答の結果、充実や強化を図るべきと思う項目は多岐にわたっています。しかし、若干ではありますが、「ゴミや空き缶等の投げ捨てに対する規制の強化」、「RV車やカヌーなどの湿原の立ち入り制限の実施」といった身近なことに対する規制事項が他の項目に比べて、多くなっています。再生事業につ直接的に関わる事項である、「湿原や釧路川などの保全に関するPR活動の充実」、「土砂流入を抑制するための蛇行河川の復元、河畔林、池、沼の整備」などは、比較的意見が少なく、今後、さらに広く理解を得ていくことが必要と考えます。

 
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