様々な湿原の植物 釧路湿原において、その植生の主役はまずヨシ及びスゲ、そしてハンノキです。 しかし、陸生生物が進入しにくい、いわゆる「底なしの沼」である湿原は、それ以外にも多くの貴重な植物たちを外界から守り、様々な植物を育んできました。 それは高地における特殊な環境が、高山植物を低地で活動する動植物から守ってきたこと似ています。 しかしその湿原も、人間活動からは植物を完全に守り抜くことは出来ません。 現在、湿原開発や河川改修を通して多くの貴重な湿原の植物が生存の危機に瀕しています。
 そのような危機に瀕している動植物を、環境省や各都道府県がレッドデータブックとしてまとめています。 これは危機に瀕する動植物をその危機の度合いに応じてランク分けしてあるもので、それぞれのレッドデータブックにおいて多少異なる分類方法が用いられています。 このレッドデータブックをまとめた研究によると、釧路湿原においては現在73種の植物が絶滅危惧植物としてあげられ、これは釧路湿原に生息する全738種中のおよそ10%にあたります。 対して、開発等による植物の移入、帰化種は湿原植物の11%にあたる、とされており、湿原外部からの影響が湿原植生の傾向からも見て取れます.。 湿原の消滅、乾燥化はこれら貴重な植物の消滅も意味します。 我々はこの貴重な植物たちを守るためにも、湿原を保全、再生していかねばなりません。
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