有機汚染量を示す指標 〜BODとはなんだろう?〜 水質環境を表す指標として、様々な物質、酸素量などが用いられます。 中でも河川の有機汚染(生活廃水や家畜の糞尿などに)の度合いを示す指標として良く用いられるのがBOD(生物化学的酸素要求量; Biochemical Oxygen Demand)です。 このBODを解説します。
我々人間は大気中からの酸素を用いて生きています。そしてこれは水中に住む生物も同じです。 但し彼らは水に溶けている酸素を用いています。 この水に溶けている酸素量をDO(溶存酸素; Dissolved Oxygen)という指標で表現します。 DOが多ければ、その水中に済む生物は問題なく呼吸ができます。そしてそれが許容範囲を超えて少なくなると、酸欠状態が起こり魚の大量死等がおることもあります。 DOは気圧や水温によって、最高値が異なりますが、一般に最も大きくて10mg/L程度です。
さて、DOを多く含む綺麗な水中に多量の有機汚染物が投棄されると、プランクトン等の微生物(生物界で言われる分解者)等が大量に発生することになります。 彼らは有機物を分解することにより水の浄化の一端を担うのですが、その分解活動には多量の酸素消費も伴います。 この結果、DO量は減少し、限度を超えると酸欠状態が起こり魚等の水中生物に多大な影響を与えることになります。この微生物により消費される酸素量をBODといいます。 BODは有機汚染物量と正の相関をもつため、水中の有機汚染物質量を表すのに用いられます。 さらに、このBODとDOは負の相関を持ち、環境基準もDOは**mg/L以上であること、BODは**mg/L以下であること、という表現がされます。

また、参考として、日本においては湖沼、海洋の有機物汚濁の水質環境を表す指標としては、COD(化学的酸素要求量; Chemical Oxygen Demand)という指標が使われています。
 なお、河川の水質環境基準は1993年に施行された環境基本法により下の表のように与えられています。 釧路湿原の主要河川、釧路川は上〜中流域がAもしくはAA、下流はAAからEまでの類型が与えられています。 適応性分類の詳細は表の通りです。 また特定の排出源に対しては水質汚濁防止法にて排出基準が別途定められています。
項目 類型 | 利用目的の適応性 | 基準値 | 水素イオン濃度 | 化学的酸素 要求量 | 浮遊物 質量 | 溶存酸素量
| 大腸菌群数 | (PH) | (COD) mg/l | (SS) mg /l | (DO) mg /l | MPN /100ml | AA | 水道1級 | 6.5以上 8.5以下 | 1以下 | 1以下 | 7.5以上 | 50以下 | 水産1級 | 自然環境保全 | A以下の欄に掲げるもの | A | 水道2、3級 | 6.5以上 8.5以下 | 3以下 | 5以下 | 7.5以上 | 1,000以下 | 水産2級 | 水浴 | B以下の欄に掲げるもの | B | 水産3級 | 6.5以上 8.5以下 | 5以下 | 15以下 | 5以上 | - | 工業用水1級 | 農業用水 | Cの欄に掲げるもの | C | 工業用水2級 | 6.0以上 8.5以下 | 8以下 | ゴミ等の浮遊が認められないこと | 2以上 | - | 環境保全 | 釧路湿原集水域でのBOD測定値 河川の水質環境基準は環境基本法により定められています。 釧路湿原の主要河川、釧路川は上〜中流域がAもしくはAA、下流はAAからEまでの類型が与えられています。 (環境基準詳細およびその適応性分類の詳細はこちらを参照) 釧路川流域の8つの測定所のうち、上流域に位置する測定所において、BOD環境基準は達成されていませんが、集水域全体としてはほぼ基準は達成されているといえるでしょう(2000年日平均値のデータ解析による)。  |
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