自然環境: 湿原域の形状と周囲の地形(流域図)  
湿原域の形状と周囲の地形(流域図) 

釧路川は、流域面積2,510km2、本川の流路延長が154km、平均河床勾配が1/1000の緩流河川であり、 北海道内の他の河川と比べると、流量変動の少ない河川です。

この釧路川の下流域に広がる湿原域をみると、湿原域を手のひらとすると、縁辺部は指のように周辺の河川沿いに広がっています。北西側が太くてまっすぐな指に見えますが、西側は細くて曲がりくねった複雑な形をしています。これはなぜなのでしょうか。

湿原北西部に流入する河川は阿寒カルデラの外側斜面を源流部としています。一般に火山の山体を流下する河川は、山体を侵食しながら比較的直線的に山麓へ流下するという特徴を持っています。これらの河川も同様の特徴を示しており、流域の形状も細長くなっているのがわかります。また、東部の支流と比べて流域のピーク標高が高く河床勾配も急であるため、河川の運搬・侵食力が高く、下流部の湿原付近では台地を切り開いて幅の広い谷底平野を形成しています。

一方、湿原東側の支流は標高が低く河床勾配の緩い河川がほとんどです。この地域は比較的均一な地質構造を持つ海岸段丘として区分され、造山帯に位置する日本には珍しく地盤の隆起と変動が少ない地域であることがその特徴です。そのため長期間、標高が低く勾配の少ない地形面が保たれてきました。このような条件を持ったこの地域に落ちた水は、周囲の標高の低い場所に向かい流れて合流を繰り返し、樹木の枝のような複雑な流路網を形成します。河川の運搬・侵食力も小さいため谷の発達は進まず、湿原北東部の支流域と比較して谷底が狭くなっています。

このような理由によって生まれた谷地形の違いが、北西部は太く直線的、東部は細く複雑、という湿原域末端部の“指”の形として表れているのです。

 

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