森林再生小委員会での取り組み事例

NPO 法人トラストサルン釧路は、過去の開発行為でササ地になるなど荒廃していた達古武流域内の所有地で自然林再生に取り組んでいる。2003 年に苗畑を設置し、流域産の苗木の生産を開始した。これまで約4 万本の苗木を生産し完成したものから順次植栽している。
植栽にあたっては、市民参加での取り組みを進めている。防鹿ネットの設置や、シカの被食が少ないケヤマハンノキなどを優先した植栽の結果、無立木地の森林化が進んでいる。さらに、森林の多様化を目指しミズナラ、ハルニレ、ヤチダモ、カツラなど多種の自生種の植栽を進め、自然林の再生を期している。隣接する二次林ではハルニレやアオダモなどがシカの被食により枯死するケースが目立ち、対策を検討している。
苗木の生産は、2006 年まで環境省との協働事業で進められたほか、民間助成金と篤志家の遺言による資金提供と地域の社会福祉団体などの参加によって行われている。実地に基づく試行錯誤と工夫により、多種の苗木づくりに成功してきている。作業は環境教育の視点で研修として進めており、ミズナラを発芽3 年で完成苗にするなど苗木生産技能の習得で成果を上げている。

