第2章.自然再生の基本的な考え方と原則
(1)釧路湿原における「自然再生」とは
本構想が提案する自然再生は、過去に損なわれた自然を積極的に取り戻そうとする取り組みです。「自然再生」という言葉は、あまりなじみがありませんが、ここでは自然再生基本方針も踏まえて、より広く、自然の保全・回復・復元・修復・維持管理・創出などの概念を含むものとして定義します2)。したがって、自然をそのままの形で残すことから、自然の質を高めるような工夫をすることまでを含みます。大きな目標に向かって、様々な取り組みを効果的に組み合わせていくことが重要なのです。
※ (言葉の参照)3) 自然を取り戻す試みは、さまざまに議論されています。地域の状況に合わせて、よいやり方を考えていく必要があります。釧路湿原では、「創出」するケースは少なく、「保全」や「復元」「修復」が主になるものと思われます。 |
保全: 今残されている良好な自然を良好な状態で維持すること。 回復: 自然が自律的に元の姿に戻っていくことを維持・支援すること。 復元: 過去にあった自然の姿を人間の手で取り戻すこと。 修復: 自然のもつ機能を人間の手で高めること。 維持管理: 人間の手で生じた自然の良好な状態を人間の手で維持していくこと。 創出: 自然がほとんど失われた場所に良好な自然を人間の手で作り出すこと。 |
2)自然再生推進法では、「自然再生」の定義として「保全・再生・維持管理・創出」としていますが、ここでは「再生」という言葉を避けるとともに、いろいろな「再生」の形があるということを詳しく紹介しています。図の方も参照してみて下さい。
3)海外では自然再生に関する議論や研究が盛んに行なわれており、それぞれの用語は英語では以下のように表現されています。
保全conservation、回復recovery、復元restoration、修復rehabilitation、
維持管理maintenance、創出creation
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