デンマークの事例 スキャーン川の自然再生 農地の交換で氾濫用地を確保、河川再蛇行化と湿地回復を実現 デンマークでは、農地の拡大と水質の浄化を目的として川の直線化が進み、98%の川が直線化されました。スキャーン川では、1960年代に実施された川の直線化と排水事業により、4,000ha以上の湿地が農地に転換されました。その結果、野生生物の喪失、漁業資源の減少、フィヨルドへの土砂の流入と堆積、洪水の頻発といった問題が生じるようになりました。 そこで、1987年にデンマーク議会は、スキャーン川とその氾濫原を復元することを決議しました。対象面積は2,323ha、河川の再蛇行化により自然な流況を取り戻し、栄養塩類に富んだ汚水が直接、河口のフィヨルドに流れ込むのを防ぐとともに、水鳥が繁殖でき、渡り鳥の重要な休憩地点として機能するような湿地を回復させること、また、スキャーン川固有のサケが遡上できるよう流路を回復させることをめざしています。レクリエーション活動の場としての活用も目的の一つとされました。 直線河道の埋め戻しに当たっては、蛇行していた流路を古地図をもとに探し出し、水が流れるよう掘削したり、新しく蛇行部を作ったりしました。周辺の農地は、予め確保した優良農地と交換することで氾濫原とする土地を確保しました。政府は土地所有者と交渉し、全体の土地の86%を買い取りました。また、面積は少ないですが土地収用も行っています。予算総額は約40億円、1999年から工事開始、2002年中に完了予定です。 なおプロジェクトには多くのNGOが参加し、その結果、プロジェクトが建設的に改善されたとのことです。
[公式サイト] THE RIVER RESTORATION CENTRE |
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