イタリアの事例 ポー川の自然再生 干拓農地で、自然再生を軸に農村型リゾートを組み込んだ公園化 北イタリア、ポー川河口部の農地はその多くが干拓地ですが、洪水常襲地帯である上に塩分濃度が高く、生産性が低い土地でした。農産物の価格低迷や農家戸数の減少という状況のもと、低生産性農地の見直しを求められたエミリア・ロマーニャ州では、「ボー・デルタ公園」構想を立てて、この地域の一部の農地を湖沼を含む湿地として再生するとともに、持続的な農業を試みる場とすることとしました。 オスッテラート湿地公園(約300ha)を例にとると、放棄農地などを湿地として再生するに当たり、淡水魚類の養殖池、バードウォッチングや狩猟区の設定などを含む農村型リゾートを組み込みました。洒落たレストランでは地場産品を素材とする料理が供され、人気を呼んでいます。自然だけの再生ではなく、小さいが古い歴史を持つコマッキオの運河や建物、橋などを再整備して魅力づくりを図っています。ウナギ、エビ、アサリなどを獲る伝統的な漁法を残しながらコマッキオ潟の水産業の活性化を図ることも組み込まれています。公園面積は最終的には約6万haが対象になるといいます。 ボー・デルタ公園局では、観光誘客と農漁業、それに自然環境保全との両立をめざし、低農薬、低肥料による環境にやさしい農漁業の実践を進めており、オープン農園や学習農園の開設、公園の日の制定、農業生産物の祭礼、生産品の質の管理(州の基準による生産物の品質保証や独自の認証制度の制定など)や、公園内の生産品マップの作成などに取り組んでいます。 |
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