湿原と人: [湿原と産業 農業] 酪農による環境負荷の増加  
酪農による環境負荷の増加

湿原周辺において、乳牛の頭数は昭和30年代(1950年代)から一貫して増えてきました。しかし、同時に乳牛などの糞尿量も増大する結果となりました。適正な処理がなされない糞尿が大量に河川に流れ込むと、有機物、過剰状態になりBOD(生物化学的酸素要求量)の増大をもたらす可能性があります。
牛の糞尿量は人間のそれと比較して約50倍とされています。これに基づいて乳牛を人口換算すると、湿原周辺には250万人以上が住む大都市が存在することになります。環境負荷は、想像以上に大きいです。
また、湿原集水域で行われている飼料生産などにおいて、過剰な肥料が散布されることによって、窒素、リン等といった栄養塩が水圏へ流出することも懸念されています。 このような栄養塩類やBODの増大は、河川、湖沼、地下水、そして湿原への負荷を増大させることにつながり、植生や生物への影響が懸念されています。

湿原周辺5市町村の人口と乳牛数(乳牛の人口換算係数は糞尿量の人対乳牛比=49.2/頭)
なお人アイコン(大)は10万人、人アイコン(小)は1万人、ピンクは人口、ブルーは乳牛の人口換算数を表しています。

出典:人口『平成27年国勢調査 人口等基本集計』(総務省統計局)、(https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003148500)、乳牛頭数『平成29年畜産統計調査』(総務省統計局)、(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&lid=000001194303)、を加工して作成

 
前の記事:[湿原と産業 農業] 大規模化しつづけてきた農業 | 次の記事:[湿原と産業 林業] 木材生産重視の林業から森を活かす林業へ
メインコンテンツ
 
環境省 釧路自然環境事務所 〒085-8639 釧路市幸町10-3 釧路地方合同庁舎4階
TEL:0154-32-7500 FAX:0154-32-7575 E-Mail:NCO-KUSHIRO@env.go.jp(@を半角に変換してお送りください)
 
 
COPYRIGHT 2005 環境省 このサイト内の文章・画像の著作権はそれぞれの作成者に帰属します。無断利用を禁じます。