湿原と人: 資源としての湿原  
資源としての湿原

釧路地方は内陸部の阿寒・弟子屈に比べて観光産業への取り組みが遅れてきましたが、釧路湿原の観光利用を拡大することで、それに伴う経済効果が期待されています。これは地域の人々が「観光資源としての湿原の経済的価値」を見出し始めていることを意味します。湿原の開発が官民挙げて促進された時代、誰もが「自然は大切ではない」と考えていたわけではありません。 ただ、自然を犠牲にしてでも開発することで利益が上がる(利益>費用)、という考え方が支配的でした。ただその計算には、目に見えない損失が考慮されていません。 一例としてあげるなら湿原が失われることによって将来の湿原利用の機会が失われることによる損失や湿原が失われることにより失う観光収入分、などです。 これらは、「機会費用(損失のことです)」と言われています。特に自然資源の価値は市場にて決められるものではないので、見落とされる、又は過小評価してしまうことが多いです。今、釧路湿原では観光利用価値が評価され、積極的に利用されています。 それは今まで見落としていた「機会費用」を見直そうということと同じ意味です。自然資源の経済的価値の理解は簡単なことではありません。しかしこれらをしっかりと把握することで、経済的な動機に基づく環境保全、再生事業に取り組むことができます。

 
 
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