自然環境: 湿原に生息する植物:ハンノキ  
湿原に生息する植物:ハンノキ
ハンノキ林の拡大

ハンノキは日本全国の低湿地帯において見ることの出来る樹木であり、湿原において高木として生長することの出来る数少ない種の1つです。このハンノキ林が釧路湿原において加速度的に拡大する傾向にあります。その分布域は1998年時点で釧路湿原面積のおよそ30%に達しています。

現在、このハンノキ林の拡大は湿原周辺域における開発による土砂流入による乾燥化や、地下水位の変化、湿原への栄養塩供給による組成の変化などが原因として考えられています。 実際、河川改修により土砂流入が増えている地域や、栄養塩濃度(窒素、リンなど)の高い湧水が供給されるところにハンノキ林が繁茂する傾向など報告されています。 しかし、現時点では科学的にまだ十分理解されているとは結論付けられません。

したがって、増えつづけるハンノキ林を湿原の景観や植生において乾燥化の指標=有害種であると考えてしまうのはあまりにも短絡的です。 実際、ハンノキ林は自然の植生として釧路湿原に存在してきたものであり、その存在は景観上の観点からも必要です。

まず大切なことは、このハンノキ林の増大の意味を科学的にしっかりと理解すること、そしてそれに基づいて対策を考えることです。 そのための研究が多方面において進められており、釧路湿原再生事業の中でも広里地域において大規模な実験、研究が行われています。


 
1993年8月(ハンノキ:青,735,337.1m2)
  2000年9月(ハンノキ:赤,865,165.7m2)

広里地区のハンノキ林面積の比較
広里地区のハンノキ林を空中写真より抽出し面積を比較すると、
1993年〜2000年までの7年間で約130m2増加していることがわかります。
 

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