湿原の基礎: 湿原とは、湿原の種類  
湿原とは

「湿原」という言葉は、このサイトに来られた皆さんなら大抵の方がご存知でしょう。湿原と聞いて思い浮かべるイメージは大体二つに分かれるのではないでしょうか?1つは暗く湿った不毛な土地というイメージ、もう一つは鳥や動物、魚が豊かでさわやかな生物の楽園というイメージ。環境の世紀である現在においては後者のイメージが強いと思いますが、前者のような不毛な土地とみられていた時代もあります。湿原とは?の答えは時代背景により変化していると言ってもよいかもしれません。

正式な定義としては、広辞苑(第5版)に次のように記載されています。


「多湿・低温の土壌に発達した草原。動植物の枯死体の分解が阻止されるため、地表に泥炭が堆積している。構成植物・生態条件などにより低層・中間・高層湿原などに区分。やち。」

湿原の種類

湿原は一般的に、低層・中間・高層湿原の3タイプに区分されます。低層、中間、高層の漢字から推測される通り、周囲との高さの関係によって判断することができます。
 湿原は、常に植生の枯死と堆積を繰り返しており、低層から中層、高層湿原、陸地へと変化していきます。堆積のスピードは上層で、年に0.5〜1mm(釧路湿原)と言われています。湿原が陸地とならずに未だ湿原として存在しているのは、地盤の沈降と堆積のスピードが絶妙につりあっているからです。


低層湿原

周囲より標高が若干低く、周辺からの水が流れこんでいる湿原。

特徴

水が周囲から流れ込むため、このような水は周辺の環境にもよりますが、栄養を多く含んでいます。そのため、ヨシやスゲといった植物が大きく成長しています。
釧路湿原においては、低層湿原が80%を占めています。



中間湿原

低層湿原から高層湿原に移行するときの湿原。

特徴

低層湿原から高層湿原に変化していく際の湿原であり、高層湿原ほど盛り上がっていないため、水が豊富に流れ込みます。そのため、栄養がやや豊富で高層湿原よりも草丈の高い植物(ヌマガヤ等)が生育しています。
 地形的には低層湿原であっても、貧栄養な湧き水などによって養われている場合には貧栄養でも生育可能な植物が生育し、このような湿原も中間湿原と呼ばれています。



高層湿原

周囲より標高が若干高く、雨水や雪解け水によって水が流れ込む湿原。


特徴

高層湿原は、低層湿原に生えているヨシやスゲといった植物が枯れ堆積が進んだ結果、周囲よりも盛り上がった湿原です。典型的なものは、野球のドームのような形をしています。そのため、周辺からは水が流れ込み難くなり、雨水や雪解け期に増水した水のみ流れ込むことになります。雪解け期以外では、栄養がそれほど含まれていない雨水のみとなるため、貧栄養な条件でも生育が可能な植物(ミズゴケ)が生えています。
 温暖な地域では、枯れた植生がすぐに分解されてしまうため、高層湿原は発達できません。
赤沼を中心に高層湿原が広がる(釧路湿原)

 
 

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