第6回再生普及小委員会 議事要旨

行動計画ワーキンググループ経過報告について

行動計画ワーキンググループの経過及び2005年度の具体的な取り組みについて、事務局より報告が行われた。

(委員)

ボランティアレンジャーの会では毎月の「クリーンウォーク」、「観察会」が今年度で 2年目となった。参加者が最も多かったのは「 1/4 ウォーク」で約 100名。 1月の冬のキラコタン岬をスキーで歩く行事では、応募者に対してスキーが不足していることと、参加者10名に対して2~3名のサポートが必要という問題があり、今回だけは50名と参加者を少なく調整した。

(委員)

釧路市民活動センターわっとでは、法政大学西澤ゼミナールさんから湿原を守る活動を地域通貨につなげてまちづくりを行い、地域の活性化を図るという提案をいただいた。このことで皆が湿原を自分達の大切な資源と思い、大事にしていこうという活動が少ないと思った。

(委員)

シャケの会では長年、提言している岩保木水門の通水を基本としながら再構築していきたい。

(委員)

ネイチャーゲームの会では、活動が停滞している。今後改めて、ゲームを通じて釧路湿原を知る機会を提供する取り組みを再構築していきたい。

(委員)

生物談話会は外部に向けた取り組みはない。湖陵高校の教員として学校の中で生徒を対象に湿原の巡検や、校内で希望者を募り釧路地方の自然学習を去年行なった。

(委員)

様々なイベントを通じて、参加者に対し積極的に情報を提供していくことで、参加者の自ら活動する意識を高められるような地道な努力が必要。

(委員長)

アイディアや計画を実際に実行するためには、手伝ってくれる人やボランティアが必要。しかし現実には不足しており、様々な所から大学へ人手依頼がある。釧路には公立大学や教育大学という若い人がいる高等教育機関が存在するので、より連携をとることで大学自体も真剣に考えていくようになれば、このような事柄を解決できるのではないか。また、2006年度の企画募集について、湿原に関心を持っている方などへ、積極的に働きかけていただきたい。

釧路川におけるトイレのあり方検討会について

釧路川におけるトイレのあり方検討会の取り組みの内容・経過についての報告が事務局より行われた。

(委員)

現在、中国では世界遺産を含む主要箇所は、ほぼ有料となっている。特に世界遺産である黄龍ではトイレ事情において先進的であり管理も行き届いている。一周 4キロメートルの道にはトイレが多数存在しており、ゴミも一切落ちておらず、これは黄龍の生態系に悪影響を与えない配慮であると思われる。トイレの有料化は他国においても複数存在している。日本では有料トイレにおいて支払いの有無に関係なく入場できるが、他国では支払わなければ入場できない。

(委員長)

トイレは利用する人のエチケットを含めた常識の問題と結びついている。過去と比較して現在のトイレの処理形態は変化している。よってこの先バイオ技術やよりインパクトの少ないトイレ・施設を作ることで釧路が先進事例となることが可能であると思う。

(事務局)

トイレの有料化により維持管理費を利用者からの協力金でまかなう事例は、大雪山のバイオトイレなど道内でも既に存在してきている。しかし実際の支払いは 3割程であり、難しいが今後はモラルを啓発するなどして、少しずつ高めていかなければならない。

(委員)

北見では祭の際にバイオトイレを使用しており、臭いも少なくうまく活用されている。発酵と循環に対して使用者数が過剰にならないように利用するなら有効であると思う。

トイレを綺麗に使うことやお金を支払うことは、すべて環境を守ることに繋がるということを地道に発していくことが必要。

(委員)

人目のつかない場所に有料トイレを設置しても利用されない。無料だとしても管理が大変になり結局2~3年で汚くなってしまう。

(委員)

全国の山岳地ではどこでもトイレの事が問題になっている。知床(羅臼岳)には年間一万人ほどの登山客が訪れている。何箇所か水場周辺でかなり汚れているところがあり、夏季には臭いなどの問題が生じている。例えば有人の山小屋がある北アルプスは、トイレの改築に国の補助が入る仕組みになっている。釧路湿原周辺では、どのような工夫や方式が良いのか考えて行く必要がある。

(委員長)

釧路湿原に多くの人が関心を持ってもらうことで、多くの人に訪れてもらうことを前提に考えた場合、将来的にカヌー利用者という限定された階層ではなく一般の方々が多く湿原周辺にやって来るということを想定してトイレの問題を考えなくてはならない。

(委員)

トイレ設置の必要性において「必要性はない」 6箇所について理由を教えて欲しい。

(事務局)

調査はカヌー業者さんを対象にアンケートを実施した。 6箇所はマップに出てきているように、既に近くて便利な所にトイレがあるという箇所。

今後はアウトドアに関しては不便なこともあるということを、アウトドアをする人が認識する必要がある。

(委員)

再生普及小委員会とトイレのあり方検討会は、どのような位置づけなのか教えて欲しい。

(事務局)

当初、自然再生協議会の前身組織である釧路湿原の河川環境保全に関する検討委員会で、そこに存在した現在で言う小委員会に属さない事柄は全て再生普及小委員会で引き継いできたという経緯がある。

環境教育ワーキンググループの経過報告について

(事務局)

これまで環境教育ガイドを管内の各小学校・中学校に計3000部配布を行った。また人材バンクプログラムリストを作成し、管内小中学校へ配布を行った。ワーキンググループ設立の当初目的は、環境ガイド・人材リストの作成及び、平成16年 3月の発行・配布によって達成された。本年 3月末を以て現行の環境教育ワーキンググループを解散したい。

今後の展望・方針として、現行のワーキンググループが作成した資料の普及と利用の促進を図ることが重要。新たな枠組みを検討して欲しい。

(委員)

確かに配布を行い活用していると思うが、活用状況の把握や改善やフォローアップが必要。また、予算がない中でも何か出来ることを皆で考えるということは必要。

(委員)

調査によると環境教育を実施していない学校が 3分の2 程度あり、配布したガイドを全く活用していないようだ。今後の活動として環境教育ガイドや人材バンクプログラムリストの修正や活用法を啓発することも必要である。

(委員)

環境教育という言葉を聞いた時に、特に酪農が盛んな地域では嫌悪感を感じる懸念があるのは、自然保護や環境教育などが、かつて浸透しにくかったという背景があるようだ。

(委員長)

その地域に生活する人の立場で自然再生を考えることが自然再生協議会の基本的事項である。ただ具体的には折り合いをつけることが難しく、だからこそ環境教育や啓発活動が必要である。

個人的には、現場の先生や環境教育に関心のある教育関係の方などに入ってもらい、新たな形でのワーキンググループで、これまでの資料を引き継いながら継続していくことを提案したい。

どのような形で新しく立ち上げるか、次回の小委員会の議題としたい。

法政大学西澤ゼミナール報告会について

法政大学西澤ゼミナールから、釧路湿原自然再生事業についての普及・啓発、地域住民の参加促進と商店街の発展、地域産業の発展に関する調査結果から、広報活動の方法、地域通貨の導入、地域産業のブランド化など数々の提案が盛り込まれ報告が行われた。報告の中で、釧路湿原の現状と自然再生事業について知らない住民が多いことが指摘され、今後にむけて、コーディネート機関を有したネットワークの構築が提案された。